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山口 徹治
京都大学大学院工学研究科博士学位論文, 136 Pages, 2001/01
地層処分場から漏えいした長寿命核種が亀裂性の岩盤内を地下水によって移行するとき、岩石マトリクス内への拡散とそれに伴う鉱物表面への吸着により、その移行が著しく遅延されると期待される。岩盤中の亀裂頻度が高い我が国においては、健全な岩石内へのイオンの拡散のしくみを解明し、これを安全評価に取り入れることが緊要である。そこで、日本の代表的な花崗岩について拡散経路となる間隙構造を解明するとともに、透過拡散実験によって陽イオン,陰イオン,アクチニド元素の炭酸錯体などについて拡散挙動を調べた。その結果、健全な岩石内をイオンが拡散することができ、その拡散には表面拡散が寄与することを証明することにより、天然の岩盤が放射性核種の移行を遅延させる効果を定量的に評価することを可能にした。
向井 将一; 上野 文義
JNC TN9400 2000-017, 10 Pages, 2000/03
キャビティの生成・成長挙動に関する研究は,クリープ試験により得られた破断後の試験片の破面観察,あるいは中断試験で得られた試料を観察することにより行われることが多いが,結晶粒界上に発生した1ミクロン程度のキャビティの成長挙動を連続観察により経時的に把握することは容易ではない.数値計算によるシミュレーションは観察が困難な材料内部の局所的な挙動を連続的に追跡できるため,キャビティの成長挙動を検討する上で有効な手段となることが考えられる.本研究では,結晶粒界上に発生したキャビティの成長挙動について拡散方程式を用いた数値シミュレーションを試み,表面拡散/粒界拡散,応力等の因子がキャビティの成長におよぼす影響について以下の知見を得た.(1) 粒界拡散が表面拡散に比べ十分大きい場合には,キャビティはき裂形状に遷移する.一方,表面拡散が粒界拡散に比べ十分大きい場合には,キャビティは初期形状を保ちながら成長する.(2)粒界拡散が表面拡散に比べ十分大きい場合には,粒界に作用する垂直応力に誘起された粒界拡散によりキャビティ先端部付近の成長速度が著しく加速される.(3)表面拡散が粒界拡散に比べ十分大きい場合には,キャビティ表面での化学ポテンシャルの分布はほぼ均一であるが,粒界拡散が表面拡散に比べ大きくなるにつれて,キャビティ先端部での化学ポテンシャルの勾配が大きくなる.
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-062, 16 Pages, 1999/10
圧縮ベントナイト中でのイオン電荷の影響を定量的に評価するため、Ni, Am, Sm and SeOの実効拡散係数(De)を拡散化学種の電荷をパラメータとして取得した。Ni,Smに対しては、乾燥密度1.8 Mgm,pH56の模擬間隙水条件にて透過拡散法により測定した。SeOに対しては、乾燥密度l.8 Mgm,pH11の模擬間隙水条件にて測定した。Amに対しては、陽イオン排除の効果を確認する目的で、乾燥密度0.8,1.4,1.8 Mgm,pH2の間隙水条件で測定した。測定では、Na型ベントナイト(クニゲルV1)を用いた。Amの測定においては、低pH領域で行うため、予め層間イオンのNaをHと置換したH型クニゲルV1を用いた。得られたDeは、SmNiAm SeOの順で小さくなった。得られたDeをこれまでに報告されているデータと比較した結果、Deは、CsSmHTONi陰イオン(I, Cl, CO, SeO TcO, NpOCO, UO(CO))の順で小さくなり、陽イオンHTO陰イオンの傾向を示した。AmのDeのみは陰イオンと同程度であった。NiのDeがHTOより小さかった原因は、Niの自由水中の拡散係数(Do)がHTOのそれの約1/3と遅いことによると考えられる。また、AmのDeが陰イオンと同程度であった原因は、AmのDoもHTOの約1/3であったこと、及び陽イオン排除によるベントナイト表面からの静電的反発によると考えられる。そこで、各イオンのDoで規格化して求めた形状因子(FF)で比較した結果、SmCsNiHTOAm陰イオンの順で小さくなり、Cs,Ni,Smに対しては表面拡散、Amに対しては陽イオン排除、SeOを含む陰イオンに対しては陰イオン排除の可能性が示された。FFの計算結果から、乾燥密度1.8 Mgmに対する表面拡散の程度は、HTOを基準としてSmに対しては5倍程度、Csに対しては3倍程度、Niに対しては1.3倍程度であった。また、同条件における陰イオン排除の程度は、TcO4で1/7程度、NpOCOで1/6程度、SeOで1/5程度と見積もられた。
山口 徹治; 中山 真一; Vandergraaf, T. T.*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.506, p.1091 - 1093, 1998/00
処分施設から漏洩した放射性核種が岩盤内を移行する現象を評価するためには、岩石内への核種の拡散係数が必要である。通常この拡散係数は多孔質媒体中における拡散の理論を用いて見積もられるが、吸着性のイオンに対しては表面拡散の寄与等により、この理論が適用できない場合があることが示唆されている。本研究ではカナダ・マニトバ州にある地下実験施設の240mレベルの亀裂ゾーンから採取した花崗岩と地下水を用い、吸着性のSrと非吸着性のIの拡散を同時に測定し、結果を検討した。透過拡散の遅延時間から得られたSrの分配係数(K=0.8ml/g)は、溶液中におけるSr濃度の減少分から見積もられた分配係数(K=82ml/g)に比べて二桁も低いという結果が得られた。この結果はSrの岩石内拡散には、表面拡散現象が寄与するという仮説を支持するものである。
山口 徹治; 坂本 義昭; 妹尾 宗明
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(8), p.796 - 803, 1993/08
被引用回数:17 パーセンタイル:81.9(Nuclear Science & Technology)放射性核種の岩盤中における移行を評価するためには、岩石マトリックス中への拡散現象を理解することが重要である。本研究では透過法を用い、花崗岩中におけるストロンチウムの有効拡散係数と分配係数を調べた。脱イオン水中では有効拡散係数も分配係数も0.1M KCl溶液中に比べて2桁ほど大きい値になった。カリウムイオンが共存するときには、ストロンチウムは岩石表面にあまり吸着されず、岩石間隙中水を拡散したと考えられる。一方脱イオン水中の値は、ストロンチウムは岩石に吸着されており、吸着されたストロンチウムが拡散(表面拡散)したと考えると良く説明できる。岩石中におけるストロンチウムの有効拡散係数は、間隙水中の拡散と表面拡散の2つの拡散機構を考慮した式でよく説明できることが示された。また間隙水中のストロンチウムの拡散係数は、他の2価の陽イオンやヨウ素イオンの値と整合性があることが分かった。